ハナエチゼンと林さんちの物語

林さんちの一番打者ハナエチゼン

林さんちの一番打者ハナエチゼン

ハナエチゼンと林さんちは衝撃的な出会いがありました

昔から石川県では、ホウネンワセと言う、早生品種を栽培していました。とにかくこれが、すぐに倒れるのと病気に弱いのに困り果てていました。そこで10数年前に、ほほほの穂という、石川県で育成された早生品種の栽培を始めましたが、とにかく、粒が小さくて、林さんちのように肥料を抑えて栽培すると、一気に収量が減り、少し多く肥料をやると、貧乏子沢山で、クズ米がたくさん出る始末。しかも、市場評価が低くJAに出荷しても安いと言う二重苦のようなお米でした。そこへ、ある人から、福井県で育成したハナエチゼンと言う、作り易く、倒伏にも強く、多収穫で、とても美味しいという早生品種があると聞きました。早速、福井県で種を探しましたが、手に入らず、なんと、お隣の富山県で、早々と奨励品種に指定されていて、その種を入手することがなんとか出来ました。

ハナエチゼンの成功

それが平成の初めころ、最初は、わずか300坪一枚の田んぼに栽培しましたが、なんとお盆過ぎには収穫することが出来、しかもその美味しさに感動しました。この美味しさには、理由があります。もちろん、コシヒカリの食味には及ばないのは確かですが、さすがのコシヒカリも新米のハナエチゼンにはかなわないのです。しかも、まったく手がかからず、素直に育つハナエチゼンに惚れ込み、栽培していましたが、ついに最近、石川県の奨励品種になりました(遅いって!)。林さんちでも栽培面積も増えメインの品種に育ちました。

ハナエチゼンはとても良いお米なのに恵まれない運命でした。しかし林さんちがハナエチゼンをよみがえらせました。

ハナエチゼンは、とても出来の良い米で、どんなに肥料をあげても、伸び過ぎて倒れることはありません。しかも、農家にとってお金の無い盆過ぎには、収穫出来るという、有り難いお米です。しかも、硬めのお米は、お寿司や、どんぶり物、外食向けにピッタリ。お~!これはいいぞと言うことで、よそでも、一気に栽培面積が増えました。 ところが、倒れないことをいい事に、とにかく肥料と農薬を大量投入して多収穫を目指す農家が増え、味を落としてしまいました。こうやって市場評価が落ちると、林さんちのハナエチゼンが、どんなにがんばっても売れません。おかげで、林さんちでも、お米屋さんの勧めもあり、最近は「ひとめぼれ」というメジャーな品種に、とって代わられる状態になりました。

ハナエチゼンの逆襲

ところが、わずかにお店で売っている、ハナエチゼンが最近、売れ始めたのです。コシヒカリより安くて、しかも歯応えのある美味しさが、若い層に受け始めたのです。最近は、よりモチモチと柔らかいコシヒカリ系の「ミルキークィーン」「夢ごこち」が人気ですが、やはり、ご飯単品で食べるならともかく、カレー、チャーハン、どんぶり、オニギリと、色々な料理に合うハナエチゼンも、なかなかのモノです。 昔は、お店に置いておいても売れ残ったハナエチゼンも、早々と在庫が売り切れてしまい、しかも、秋に売った先の業者から、まだハナエチゼンの在庫が無いか?と問い合わせが来るほどでした。気が付くと、多収穫を目指さず、土作りをして、肥料を減らし、除草剤は使用しますが、殺虫殺菌剤を一切使用せず、真面目に作り続けて来た、「林さんちのハナエチゼン」が、普通のハナエチゼンを超えていたのでした。

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