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林さんちのあぐらぐち物語 2004年 神無月3号
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このメールマガジンは、林さんちの大切なお客様と、ホームページをみて
林さんちに興味をもっていただいたお客様にお送りしています。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 神無月3号 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
1. 巻頭言
またまた台風の襲来!一体今年はどうなってるの?でも、大豆の刈り取りも
ほぼ終了。あとは、土作り資材散布と暮れ起こし、餅つきも、ぼちぼち始ま
って、年末の段取りが始まっています。
2.今週の林さんち・・・・ガラスの鎧
前号で、土作りをすると農薬を減らせると書きましたが、それは林さんち
で散布している、珪酸質のおかげです。そもそも土というのは、先生に聞く
ところ「アルミナ」を「珪酸質」がサンドイッチしているらしいのです。そ
れに腐食質やらなんやらがくっついて良い土と呼ばれるようになります。良
い土は、団粒状と言って、コロコロした細かい団子状のモノが固まった状態
になります。すると不思議なことに、団粒状の土には、団子の中には、嫌気
性菌と言って、酸素が嫌いな菌が、団子の隙間には、好気性菌と言って酸素
が好きな菌が、同居できるというスーパープレイを見せてくれます。この菌
達にはそれぞれの良いところがあり、いわゆる地力を上げてくれます。です
から土には、パンの部分の珪酸質がどうしても必要になります。これが多く
てダブルバーガー状態になれば、なお良しです。
しかし、稲を含め植物は、この珪酸質で体を作るので、田んぼから籾を持
ち出す分、少しづつ減って行くのです。そして、この珪酸質は別名「ガラス
質」と呼ばれます。葉っぱで、手を切ったり、トゲで刺されて痛いのは、こ
のカラス質が植物の表面を覆っているからです。特に、籾殻は硬くて、表面
にミクロのトゲがあって、稲刈りをしていて痒かったり痛かったりするのは、
細かいガラスの破片が、手に刺さっているのと同じだからです。
このガラス質が、多いほど稲は、丈夫になります。すると、倒れない、虫
に食べられにくい、病気になりにくい稲に育ちます。結果的に地力がついて
有機成分が増えて、味が良くなります。それは、林さんちのお得なコシヒカ
リのように化学肥料を使って育てても、地力が上がると有機肥料を使ったよ
うな効果が出ます。
昔は、化学肥料一辺倒だったので、ガラスの鎧どころか、太ってブクブク
状態で、病気や虫によくやられたのです。今では、地力が上がっても肥料を
優しく撒いているので、世間が豊作の時でも、林さんちは、平年並み。とこ
ろが土作りをしてあると、不作の年でも、不思議にそこそことれるのです。
つまり、化学肥料だけで育つと、気候の良い時はガッポリ、悪い時はガック
シ。野球に例えると、化学肥料は、剛速球だけど、好不調の波が激しく、ス
トライクがなかなか入らない投手。有機肥料や土作りは、球は速くないけど
切れのあるコントロールが良く、どんな時も抑えるエース投手という感じで
す。
最近は、珪酸質の他にも効果のある成分を含んだ、資材が多く販売される
ようになり、市街地でがんばっている林さんちでも、効果的に土作りが出来
るようになりました。でも、最後は、美味しいお米になれよと、念じて作業
をするのが、最高の土作りかもしれませんね。
3.技術革新と後家殺し
小学校1校、幼稚園2園の稲刈り脱穀が、終りました。農作業で、何が大
変かと言ってこれほど大変なことは無いなと自分で自負しています。とにか
く段取りが、3つ同時に進行しつつお天気で、変更があるので、やたらと電
話連絡が増えることです。担当の先生も、毎年変わるので申し送りがあると
はいえ、要領を得ないこともしばしば。大体、手で稲刈りをしたり、足踏み
脱穀なんて、昭和初期の作業ですから私すら、未知の部分が多いのです。さ
らに、それぞれの授業や行事が、微妙に違うので、合わせないといけません。
でも、今年で8年目、ずいぶんお互い段取りが、上手になってスムーズに
行くようになりました。しかし、幼稚園行事だと、ほとんどの親が、平日に
も関わらず、多くの参加があるにも関わらず、小学校5年生ともなると、参
加数は、一気に減ります。しかも児童の数と作業量は、幼稚園のほぼ倍なの
で、私の負担も倍になってしまいます。昨日の小学校の足踏み脱穀でも、や
はり保護者の数が足りず、久しぶりに2時間近く脱穀機を踏んだので、今日
は筋肉痛です、、、(T_T)
そして私が担当の脱穀が終了し、今度は専務やスタッフで、籾摺りを自社
の最新式の機械で行うのですが、これがなかなか大変。足踏み脱穀でワラ混
じりの籾をフルイにかけ、唐箕で風で飛ばして、籾だけにするのですが、そ
こは素人、どうしてもワラや稲穂のままの籾が混入してしまうのです。それ
が機械に詰まってしまい、とても苦労します。高速で回る機械に、詰まった
籾を棒で突っつくのは、とても怖い作業です。本当は、昔ながらの杵でつい
て籾摺りをするのがベストですが、それでは冬を越してしまいます。やはり
そうなると、水車が必要になります。
ちなみに、足踏み脱穀機の前は、「千歯こき」と言って、櫛の大型のもの
で籾をこそげ取っていたのですが、これは別名「後家殺し」と呼ばれていた
そうです。千歯こきの前は、割り箸で挟むようにして1本づつ稲穂から籾を
こそげ取っていたのですが、その仕事は村の中では、互助の精神からか後家
さんに優先的に与えられた仕事だったらしいのです。それが、「千歯こき」
という技術革新があったせいで、後家さんには仕事がなくなったそうです。
バングラデイシュでは、今でもその習慣が残っていてビックリしました。
しかし千歯こきで、一度、脱穀をしてみましたが、それはそれは大変です。
幼稚園で脱穀する3アール分でも、一日では終らないのではと思います。
だから実際に人力で稲作をしてみると、作業時間は、田植えが1とすると
稲刈りが2、脱穀が4、もみすりが8と、倍々で増えるように感じます。昔
の人は、一冬かけて籾摺りをして俵を編んで、出荷にこぎつけたのだと思い
ます。それを子供達を相手にやるのは、至難の業です。
それでも、なぜがんばっているかと言うと、子供達に少しでも農業につい
て体験してもらい、学んで欲しいという一心です。実際に田植えで田んぼに
入ると、泥の中は暖かったり、田んぼには毎日水周りが必要だったり、稲刈
りをすると痒かったり、クモやトンボがたくさん田んぼにいたり、わずかの
面積でも足踏み脱穀機では、すごく大変だと感じたりと学ぶキッカケは、山
積みです。そこから、一歩踏み込んで、日本がなぜ「瑞穂の国」と呼ばれる
か、食べものと命の大切さに、気づいてくれるように願うのは、無茶は百も
承知ですが、私がそうなるはずと信じ続けていることが大切だと考えていま
す。
敬白
「あぐらぐち」とは、我が社の志高きプロバイダー氏が、名付けた、
「ホームページといういろりばたで、あぐらをかいて、話でもしまいけ」と
いう意味で名付けられました。
妙ですが、オリジナリティーがあって、私は気に入っています。
なお、「こんなメールマガジンいらないよ」
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